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最高裁判所第三小法廷 平成4年(行ツ)72号 判決 1992年6月23日

東京都渋谷区恵比寿南三丁目三番一一-一一〇三号

上告人

蛭﨑三朗

東京都渋谷区宇田川町一番一〇号

被上告人

渋谷税務署長 深澤廣

右指定人代理人

加藤正一

右当事者間の東京高等裁判所平成三年(行コ)第七五号所得税更正処分取消請求事件について、同裁判所が平成三年一〇月三〇日言い渡した判決に対し、上告人らから全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、違憲をいう点を含め、独自の見解に基づいて原判決の法令違背をいうものにすぎず、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 園部逸夫 裁判官 坂上壽夫 裁判官 貞家克己)

(平成四年(行ツ)第七二号 上告人 蛭﨑三朗)

上告人の上告理由

第一、二審判決は、所得税更正処分について所得があったと推定した上での事務手続きを取り上げそれを合法であるとしているだげで、本事件の本質を看過している。

即ち、被上告人の行った平成一年九月一日付渋特第一四三二号による異議決定書の内の異議決定理由2の口に記載されている「なお、昭和六二年四月三〇日付の四〇〇〇万円及、び同年五月三〇日付の四〇〇〇万円に係る領収書は、「紹介料」として支払ったそれであるかさえ不明である。」との部分は、更正処分対象である四千万円の内のこの八〇〇万円の支払いに疑問を抱きつつも、その余の三、二〇〇万円の紹介料の支払を認めるものであり且つ一年以上に亘る被上告人による上告人に対する取調べによっても四千万円の紹介者に対する支払いを否定していないことからみて、徴収すべき対象所得が上告人に於いて存在しないことを認識していながら課税するという過ちをおかしている。

この行為は税の徴収でなく懲罰であり行政の権利を完全に逸脱した権利の濫用であり、憲法第一二条に違反していることは明らかである。

又、かかる刑罰を科するには司法当局によって行われるべきであり、このことも憲法第三一条に定めた法定手続きの保障に反するものでもある。

以上

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